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膝前十字靭帯(ACL)損傷について

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  コロナ感染症の影響で、制限されていた活動も徐々に再開されはじめ、スポーツもプレーできる機会が増えてきたようです。 しかし、スポーツでプレーする際に気をつけてほしいのが、徐々に負荷を上げてもらいたいという事です。 自粛期間中は運動量、質ともに下がっていたため、自分でも気が付かないうちに、体力は確実に落ちています。(自分では動けると思っているのですが。。。) その身体の状態で、本格的に競技へ参加した場合に、大けがへつながるリスクは高くなっています。 今回はケガのなかで私も経験いたしました、膝前十字靭帯損傷について簡単にですが、確認していきたいです。 前十字靭帯 機能解剖  膝は骨同士の連結が弱く、不安定な関節と言えます。そのため、膝の安定性は筋、腱、靭帯などの軟部組織に強く依存しています。 歩行等において、上からは身体の重み、下からは床半力の力が、大腿骨と脛骨の関節でぶつかりあい、更には矢状面、前額面、水平面の外力にも対応しなければなりません。 そこに体幹部、股関節部などで力のコントロールが出来ていれば良いてますが、動いている時には制御出来ないケースも多いです。 その膝の中で、前十字靭帯における主な役割としては ・過度の脛骨前方移動、過度の大腿骨後方移動の制限 ・ほとんどの前十字靭帯の繊維(後外側繊維と前内側繊維がある)は膝の完全伸展を制限 ・過度の内反、外反、軸回転の制限 などがあります。 一般的損傷メカニズム  前十字靭帯を怪我をする時は、何かとぶつかってというより、非接触の時が多いとされています。  例えば、ジャンプして着地した際や急激に方向転換した時などです。膝が軽度屈曲して強く外反した姿勢で起こりやすいくなります。 他にも膝の過伸展、固定された脛骨上で大腿骨が強制的に外旋された時にも起こりうります。 これらは日常生活では少ないですが、スポーツ競技にはよくある動きです。 症状としてはかなりの痛さで、しばらく動けないほどです。 損傷程度の判断は徒手検査(ラックマンテスト、前方引き出しなど)、ストレスをかけながらのレントゲン、MRI画像などがあります。 まず骨折などが否定できたのならば、前十字靭帯の損傷程度は痛みや腫れが落ち着いてから行うので、慌てて処置を進めなくても大丈夫です。 予後 手術か保存療法かは生活によってかわります。 日常生活だけでしたら保存...

ライフ•キネティック

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   体を鍛えていても、力・動きをコントロール出来なければ役にはたちません。 例えばスポーツ選手が筋トレなどをして、パワーアップしても、競技の中で発揮できなければ、ただ重い負荷をこなせる様になっただけです。日常生活でも同じです。 その中で、私が興味を持ったのが ライフ・キネティック でした。  人は一般的に状況を 認知→判断→行動 という流れの連続で生活、スポーツをします。 このネットワークが正確で、また多くの回路があれば素早く、快適に動くことができます。 ほかの例えで言うならば、性能の良いパソコンでしたらフリーズせず、サクサク処理をしてくれるものです。  よくあるパズルなどの脳トレだけでは、気がつくというレベルで終わってしまい、行動まで連動していません。 車がこちらに向かって走ってきて、気がついたとしても、一歩下がらなければ、ひかれてしまうのです。 認知、判断してから行動できるまでが大切なのです。  特にスポーツでは、この素早い一連動作を行えることが大切です。 一瞬で状況を認知、判断し、プレー(行動)ができるならば他との差が生まれます。また、スポーツでは非日常的な、複雑な動きもありますが、これもライフ・キネティックは改善する効果があります。 コーディネーションと呼ばれるものですが、手足、頭、体幹などを同時にバランスよく動かさなければなりません。よく言われる運動神経というものです。これを改善できる効果もあるのです。  私はこの話を聞いた時素晴らしいと感じました。 現在、身体を鍛えることの科学はある程度進みましたため、これから他と差をつけるには、脳、神経系だと以前から考えていたした。  また、このライフ・キネティックは勉強、仕事にも改善すると言われています。 様々な刺激(見たり、聞いたり)を判断して考え、アウトプットする必要があります。 仕事、勉強中に一つが滞る、とイライラしたり、やる気が無くなりますが、ライフ・キネティックをトレーニングすることで、かなり軽減できるデータがでています。  このメソッドはドイツ発祥で、今でも様々な分野に活用されています。 漠然とした考え、机上の空論ではなく、数多くのデータをとって導かれたものなので、信用されています。 有名な活用例ではサッカーのドイツ代表がライフ・キネティックを取り入れ、ワールドカップに優勝(2010年)したもの...

ストレングス•ファインダー2.0

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   今回は趣旨を少し変えて話をしたいと思います。 最近、ふと自分の特長・長所とは何かなと考えてみました。漠然とわかっているつもりでも、具体的に自分の才能を活かしきれているか、客観的に判断してみようと思ったのです。 そこで、ストレングス•ファインダー2.0というものを体験してみました。  こちらは書籍を購入しまして、Web上でテストするものです。(webだけでもできます。)34からなる分類の中から、自分の強みを見えるようにして、その才能を伸ばしてゆこうというものです。 欠点を改善する事も良いでしょうが、自分の得意とするものを再認識、もしくは発見して伸ばしてゆく方が成長できるのではないでしょうか。  例えば、同じ努力を「5」しても才能が「2」であれば「10」にしかならないですが、才能が「5」のものをすれば25になります。 人には向き・不向きがあるものですから。もしかしたら自分を取り巻く環境が改善されるかもしれません。  自分では当たり前として行動していても、他人から見たら凄い才能だ、というものもあります。それを再認識して仕事やプライベートに活かしてゆこうというのです。 ストレングス•ファインダー2.0 そこで私の上位5つの結果です。 1.学習欲 2.調和性 3.分析志向 4.回復志向 5.達成欲 でした。簡単に言うとコツコツ頑張る努力を惜しまず、組織の輪を乱さないような事です。心あたりはあります。 これが良い悪いという話でなく、この特長を活かしましょうということです。 漠然としていたものが、また、そうだったのか・・・というのがハッキリわかり、また自信につながりました。 さらにお金を払えば34分類全ての順位がわかり、弱点もハッキリします。 この特長を周りの人にも知ってもらう事で、さらに調和が取れやすくなります。 機会があれば是非行ってみてください。おススメです。 ストレングス•ファインダー2.0

スポーツにおける重大事故発生の判断と対応

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 スポーツにケガはつきものです。時に重大なケースに遭遇する可能性もあります。 そのような時、現場では素早い対応が必要です。医療関係者(チームドクターやベテランのトレーナーなど)がいたりすればよいですが、練習中などなかなかそのような環境は備わっておりません。 しかし、重大事故への判断と対応を、チーム関係者は知っておく必要があります。 ここでは、流れを確認してまいりましょう。 ①意識確認  まずは、意識確認をするため声掛けをしましょう。 このとき気を付けることは、 いきなり動かさないこと です。 頚髄、脊髄損傷の恐れがあるため、動いたときに損傷がひどくなってしまう可能性があるからです。特に頸部は動かさないようにします。まれに、受傷者が気がついたとき、すぐに起き上がろうとします。受傷者の体、もしかは頭部をやさしく抑えてておきましょう。 呼びかけにも反応しないときは、軽く肩などをたたき、刺激をします。 この時も返事がなかったり、不適切な応答である場合は意識なし・低下として判断して、 直ちに119番通報 を要請しましょう。 仮に意識があった場合でも、油断しないでください。 周りが慌てると、受傷者が驚いてしまいパニックを起こしてしまう可能性もあります。 本人がショック反応を起こと、血圧・脈拍・呼吸が変化してしまうこともあります。 状況にかかわらず、安心できる声掛け・対応をする配慮も必要です。 ②呼吸  意識確認の次は呼吸の確認・確保です。 うつ伏せで倒れているときは、仰向けにするのですが、これも大変重要です。先ほど述べたように、頚髄・脊髄損傷の可能性があり、悪化させてしまうかもしれないからです。 体位変換の詳細は、また別のところでご紹介いたしますが、基本は頸部を、やや牽引をかけながら、頸部を前屈・後屈・捻じらず、一本の丸太を回転させるように仰向けにいたします。なので一人では行わず、3~4人で受傷者をゆっくり仰向けにして、頸部を中間位にします。 そして、気道を確保しつつ、頭が動かないように両手で押さえておくか、あればネックカラーを使用します。 次に気道の確保。傷病者の口に耳を近づけ、ここでも呼吸音が聞こえるか確認します。 また、このタイミングで脈の有無も確認しておきます。 呼吸音がなければ人口呼吸を始めます。頸部に気をつけながら、やや、受傷者の顎を上げ気道を広げます。 2回吹き込...

肩の痛み(石灰沈着性腱板炎)

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   接骨院で仕事をしていると、肩の痛みで来院される方が多くいられます。 「四十肩(五十肩)ですか?」と、よく聞かれますが、これは一般的に呼ばれる名前、つまりにニックネームみたいなもので、広い意味があります。(正式な傷病名ではないので、何を指しているのか私も困ってしまいます。なんでもこれに入ってしまいますから。)  肩に痛みが出る原因は多くありますが、特に私が気になるのは 石灰沈着性腱板炎 です。(これも類義語がいくつかあります。) これは激痛です。。。かなり痛そうで気の毒です。。。 特に何をしたというわけではないのですが、徐々に痛みが増してきて、最終的には少し動かすだけで、うずくまる程の痛みで来院されます。 場合によりましては、整形外科へお願いしたりもします。そちらの方が薬の処方も可能なので、患者さんには有利だと考えます。 では、このメカニズムを確認してゆきましょう。 概説  これは、ハイドロキシアパタイトというカルシウムの一種が、何らかの原因で肩関節腱板(もしくは周囲)に沈着してしまうことにより、引き起こされる痛み及び運動制限であります。 明らかな原因がないことや、40~50歳代の比較的女性に多くに好発しています。 これはX-線などで見るとわかります。様々なデータが報告されていますが、未だ原因に関する詳細は、解明されていないそうです。 病態 症状とX-線で4つに分けられます。 第一期 ・石灰沈着が腱板内に限局している時期です。  関節内で軽い圧迫を受けるため、少し運動制限が起こります。  このころはまだ症状としては軽く、人によっては無症状でX-線を取ったらたまたま  見つかったということもあるようです。  なので、石灰沈着があるからといって必ず痛が伴うわけではないのですね。 第二期 ・石灰沈着が膨隆して肩峰下滑液包(水の袋みたいなもので、摩擦を防ぎます)を圧迫する  時期です。  この時期になると本症特有の激痛が起こります。衣類の着脱がかなり困難で、夜間も  痛みのため寝返りがうてません。睡眠が妨げられるので、かなりつらい時期です。  X-線では三日月状を呈して、境界線もややはっきりしなく見えます。 第三期 ・肩峰下滑液包に膨隆した石灰沈着が、何らかの影響で滑液包を突き破り、滑液包内へ  侵入する時期です。  この時が痛みのピークでありりますが、徐々に滑...

閉経後の女性の骨に与える運動の影響

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 私も40歳を経過して、少しずつ体の変化(衰え)に気がつくようになりました。。。まだまだ動ける年齢ではありますが、気をつけなければと思い始めております。 体は年々衰えてきます。骨もその一つです。女性の場合は、男性よりもホルモンの影響が大きいため、骨密度が損なわれやすいです。 しかし、遅らせることは可能ですので、今回はできるだけ防ぐ方法を確認してゆきます。    予防策としてはいくつかありますが、 一つは運動です 。 負荷(衝撃)を与えることにより、骨は強くなろうと反応します。そのため骨の吸収を抑え、さらには骨形成を促進します。 では、どのような運動をどの程度行うべきでしょうか。  宇宙飛行士は宇宙滞在期間中に運動せずにいると、無重力のため骨含量は優位に減少するようです。骨に対する刺激が少ないためです。  他の話では、運動しているしている人は、種目によって主に使う部位の骨密度は発達しています。サッカー選手なら下肢が、野球選手なら腕もですが、共通しているのが腰椎(腰)です。走りこむからでしょうが、やはり、刺激があれば反応するようでね。 でも、なかなかそれらのスポーツは日頃から気軽にはできません。 そこで、運動といわれ一番最初に思いつくのはウォーキングではないでしょうか。手軽で、比較的誰でもできそうです。 頻度・時間は週3回、1回30分前後が目安になります。個人的にも30分が好きです。飽きないし、時間も作りやすいので。 ペースは、ゆっくり歩くでは骨への反応が少ないようです。やや早歩きで、息が少し上がる程度までのペースで、効果はみられるというデータもありました。 ランニングでは衝撃が大きくなる分、さらに効果はあります。 ただ、個人によっては心肺機能が低い方や、持病を持つ方もいらっしゃいますので、無理はしないでください。体は骨だけではないので。自分のコンディションに合った、ややきつめの負荷を設定してみてください。  また、骨密度という観点から覚えておいていただきたいのは、ウォーキング、ランニングでは腕への刺激が弱いということです。 中高年女性の骨折で比較的多い部位として、橈尺骨遠位部(手首のあたり)があります。この手首のあたりの骨密度を高めるためには、ウォーキング、ランニングだけでは刺激が少ないのです。 私が骨密度を高めるのに一番良いと思えるのは、ウエイトトレーニングです。 ...

中高年期のスポーツ外傷

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 近年では、中高年期において健康志向が高くなり、スポーツへ参加される方が増えてきております。長距離ランニング、テニス、ママさんバレーボールなど様々です。  しかし、青年期の頃と違い、中高年期の身体は変化していることに注意しなくてはいけません。 健康増進のつもりが、不健康につながる可能性があるからです。 日常生活において、大きく伸びをしたり、大股で歩いたり、手を後ろに回したりするなどのことはあまりありません。 そのような身体を動かす機会のあまりない中高年期の方が、加齢に伴って変化する身体を理解しないで運動すると、思わぬケガ•病気につながります。 中高年期になると身体組成が変わり、弾性が低下するため、 脆さ、硬さ、鈍さ、重さ、という4つの特徴 が現れてくるのです。この点を確認して参りましょう。 脆さ  骨、関節軟骨、筋肉、靭帯、腱、神経などは年齢と共に脆弱化してきます。そのため、外からの外力に対して、弾性が低下しており、以前は耐えられた力にも組織が破綻してしまう事があります。 これはダメージを感じない程度のもあるもありますが、この負担がのちに筋腱炎へつながってゆきます。 硬さ  各組織の弾性が低下することで、関節可動域も変化してゆきます。 日常生活だけでは広い関節可動域を使うことは少ないので、意識して動かしてゆかないと、徐々に拘縮してきて、関節可動域が減少してゆきます。 例えば肩の外旋運動(手を挙げる)、股関節の伸展(大股で歩く)などです。これは肩関節周囲炎、股関節炎、腰椎前弯による腰痛などの痛みにつながる事があります。 鈍さ  神経系統に起こる変化であります。神経の伝達速度が遅くなり、協調運動が低下します。そのため、関節をまたぐ大きな筋肉が滑らかに動かせず、肉離れ、捻挫などが起こりやすくなるのです。 重さ(体重増加)  成長が終わり身体の代謝量が減ると太りやすくなります。頭の中では昔のイメージで動こうとするけれども、身体の重量増加、協調性低下などがある場合、さらにケガのリスクは高まります。 予防といたしましてはまず、 体の変化を自覚すること です。 そのために普段から軽運動しておくと良いでしょう。ストレッチなどは柔軟性に気が付きますし、持久性運動では疲労度の変化に気が付きやすいです。また、回復の遅さも実感出来るでしょう。 『昔はこんなんじゃなかったのに』と、思っても実...