組織の治癒過程
スポーツ競技においてケガは付きものですが、出来るだけ早く治したいものです。
ただ、焦りは禁物で、私としてリハビリまで含めてしっかりと治してもらいたいものです。
患者さん自身がいまどの程度まで治ってきているかを把握できれば、焦りも少し和らぐのではと思います。
専門でないと細かくわからないでしょうが、概略だけでも確認していきましょう。
組織の回復は大きく3つの段階に分けられます。
①炎症期
②修復期
③リモデリング期
各段階に起こるタイミングはケガの程度、年齢や環境などでかわりますが、パターンは同じです。
①炎症期
組織が損傷したらまず、血流・毛細血管透過性などが変化し、腫脹が起こります。
また、血液が間隙に流失するため(内出血など)組織の低酸素状態となり壊死が起こります。そこで疼痛物質を分泌し、痛みを感じるようになります。
さらには、血管透過性が高まることで腫脹に続き浮腫が起こり、収縮組織を抑制し、動きを制限させます。
しばらくすると損傷組織において白血球による貪食作用が起こり、不要なものが取り除かれます。通常2、3日続きますが、損傷が大きければもう少し長引きます。
②修復期
炎症期が終わると組織の修復が始まります。これは瘢痕形成と呼ばれ、毛細血管・結合組織・コラーゲンなどが無秩序に形成されていきます。
しかし、これらは動きに対し、十分な強度・可動性がまだありません。この時期は炎症期の後期からみられ、長くなると2ヶ月も続く事があります。
③リモデリング期
修復期ののち、今度はリモデリング期が起こります。これは元の状態に戻すという意味で、修復期の組織が外力に対して強くなっていく時期です。
コラーゲン繊維が減って、新しい結合組織が形成されることにより、強度や機能が改善されます。ストレスに対して強度が増して、配列が整理されていくのです。
こうした段階を経て機能が回復していくのですが、注意してほしいのは再生ではなく修復ということであります。すなわち、全く元通りにはならないということであります。
このことを理解していただきたいと仕事時はいつも思っております。左右を比べてみると、治ってきたと言われても少し腫れている、動きが悪いなどが見られます。しかし、体はもうケガしないようにと強くなります。皮膚ではケロイド状になるのと同じで、体の中でも起こります。
なので、損傷が大きければ大きいほど、その後もケアが大切だということです。
私は構造をもとに戻すのも大切ですけれども、機能を戻すことを優先して施術をいたします。多少構造が変化していても、ほかの部位で動きを補えると考えておりますので。
この補うための施術、リハビリが大切です。退屈で大変なのですが、途中でやめずにしっかり医療機関の先生の指示に従ってください。
このような流れで組織が治ってきます。
はっきりとした線引きはできませんが、大まかの流れを知っていると先がみえて、少しでも焦る気持ちが和らいでいただければ幸いです。
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