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踵骨骨端炎【セーバー病】

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   今の小・中学生の子は身長が高いです。中学生ともなると、私より背の高い子が来院されます。 しかも私より足が長い・・・。近寄らないようにして誤魔化してます・・・。  そのような小・中学生は以前、膝の痛みを訴える子が圧倒的に多かったのです。 しかし、最近は踵の痛みを訴える子が増えてきました。まだ骨が柔らかい骨軟骨症候群の一種です。 今回は踵の成長痛、踵骨骨端炎(セーバー病、シーバー病)を確認してゆきます。 原因 閉鎖前の骨端が牽引されて痛みがでます。 ①閉鎖前の骨端が筋肉により(ここではアキレス腱部)で牽引され、炎症がおこります。 ②激しい運動(急激な方向転換、ダッシュ、ジャンプなど)を継続して行う。  また、急に運動量が増えてくる。 ③間接的には骨盤の後傾姿勢、筋のアンバランスなども関係する。 症状 ①圧痛、軽い熱感 ②歩行痛、運動痛 ③数週間~数か月続くこともあり、かなり悪化すれば骨折もありうる。 ④経過はほぼ良い。後遺症などは起こりにくい。両足同時に起こることははまれです。 処置 ①アキレス腱で踵を牽引させるような運動を休む。(走るなど)  熱感があるときは一回20分ぐらいのアイシングをします。  あんまり痛みが強い時は松葉杖で荷重を調整する。 ②筋のアンバランスを整える。マッサージ、ストレッチなど。  または予防として全身を調整するトレーニングを組み込みます。 ③身体の使い方を変える ④足底板を使用して重心を若干前へ持っていく。  一番の予防としては、トレーニングの負荷を調整すれれば良いので、青少年期のコーチは子供たちをみつつ、トレーニングするとよいでしょう。 私は短期集中でトレーニングする方が様々利点が多いと考えております。 仕事もそうですしね。

トレーナー活動を振り返って

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   とある高校サッカー部のメディカルトレーナーとしてサポートさせていただき、三年目を迎えました。 通常業務もあり、様々忙しくなりましたが、楽しませてやらせていただいております。 チームや選手のお役に立てるだけでなく、今まで気がつかなかった自分の課題も見つかったり、何より、若い選手が変わっていく姿には本当に刺激をうけます。 治療院の中では気がつかない、見逃していた事が多々ありました。 できるつもり、分かっていたつもりでいた事が、不完全であったことに実感でき、本当に感謝しております。 また多くの方々と出会う事で世界も広がりました。 世の中を知る事ができよかったです。 トレーナーって何する人?  スポーツトレーナーという分野は今とても人気があります。やり甲斐がある反面、まだまだ課題が多い業界です。 その一つに、役割が確立されていないということがあります。また、役割があることすら周知されていません。 「トレーナー」と言われると、体のことを全般にサポートする人と思われがちです。 しかし、いくつか専門分野があります。 ・アスレチックトレーナー ケガの対応(応急処置的なもの)、競技復帰へのグランドでのリハビリ、ケガの予防対策 ・メディカルトレーナー ケガの対応(受傷直後から日常に戻れるまで)、運動機能の回復リハビリ、健康管理 ・ストレングストレーナー 身体機能、体力、パフォーマンスの向上 ・コンディショニングトレーナー 日々のコンディショニング調整、計画立案 などあります。このほかにもメンタル面や栄養面などの分野もあります。 はっきりとした線引きはありませんが、それぞれ専門性が高く、深い知識、経験、場合によっては資格も必要です。 例えるなら、整形外科と眼科のドクターは同じ医者でも、違う勉強しているのと似ているのではないでしょうか。  なので、トレーナーを目指すのであれば、どの分野に行きたいか、しっかり目標を立てた方がよいです。 私はメディカルトレーナーとして活動しています。もちろん勉強のため、ほかの分野も学んでいますが、それは他の分野の方と連携をとるために、話が通ずる用のためで、あまり手を出しません。できる限り専門性の高いところへ紹介いたします。選手のために。  現状、高校などアマチュアクラスで、全てのトレーナーを抱えることは資金面的にも不可能に近いので、なるべく信頼で...

フィジカルを鍛える?

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   仕事でスポーツ選手のケアをしていると『フィジカルを強くしたいのですが、どんな筋トレをしたらよいですか?』とよく質問を受けます。 その時私は『フィジカルのどの部分を強くしたいのですか?』と、逆に質問するのですが、そうすると相手は困ってしまい、『体を強くしたいのですよ』と、だいたい返されます。 これは選手に限らず、コーチなどでも同じです。 私はサッカーをサポートする機会が多いのですが、当たり負けしないようにしたいというニュアンスが大きいかなと、とらえています。  ただ、これは筋トレなどで筋力をつけなくても、体幹、股関節の使い方という技術的なことで改善する事ができます。 こんなことを説明すると、たいてい相手からは『そうではなくて筋肉を、身体を大きくしたいんですよ』と言われてしまいます。 皆さん筋骨隆々となれれば強いイメージのようですが、それだけでは動き(プレー)に悪影響が出ることが、故障に繋がる場合もあります。 筋力(strength)だけに着目してしまうと、他の動きに影響を及ぼすこともあるのです。 今回はフィジカルとはどんなものがあるか、簡単に確認してゆきます。 ①筋力 「ある速度において金または筋群が発揮可能な最大の筋」...難しい... 簡単にいえば、重いものをどれだけ移動出来るか、移動させようと筋力が産まれるか。 バーベルを持ち上げたり、背筋力を測るとき引っ張る検査などです。 ②パワー  「単位時間当たりの仕事量」.....難しい..... 簡単に言えば、物体をどれだけ素早く移動できるかです。 垂直跳びや立ち幅跳びなどの力がこれにあたります。 ③敏捷性 素早く方向転換などできるか。反復横跳びやシャトルランなどがこれにあたります。 ただ、よく混同されやすい、アジリティーというものがありますが、厳密には異なります。アジリティーには判断も加わります。つまり、相手に合わせて瞬間的に自ら判断して方向などを変化させることも含まれるため、はじめから決まっている場所、この地点にきたら方向転換するとは少し違ってくるからです。 ④スピード 速さ これはシンプルに様々な種類の速さを求めています。 ⑤平衡性  バランス感覚をさし、体勢が崩れたりしても、自分の位置を把握できているか、またそれに対して修正できるかという能力です。 ⑥協応性 コーディネーション  一つの動作をする...

膝前十字靭帯(ACL)損傷について

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  コロナ感染症の影響で、制限されていた活動も徐々に再開されはじめ、スポーツもプレーできる機会が増えてきたようです。 しかし、スポーツでプレーする際に気をつけてほしいのが、徐々に負荷を上げてもらいたいという事です。 自粛期間中は運動量、質ともに下がっていたため、自分でも気が付かないうちに、体力は確実に落ちています。(自分では動けると思っているのですが。。。) その身体の状態で、本格的に競技へ参加した場合に、大けがへつながるリスクは高くなっています。 今回はケガのなかで私も経験いたしました、膝前十字靭帯損傷について簡単にですが、確認していきたいです。 前十字靭帯 機能解剖  膝は骨同士の連結が弱く、不安定な関節と言えます。そのため、膝の安定性は筋、腱、靭帯などの軟部組織に強く依存しています。 歩行等において、上からは身体の重み、下からは床半力の力が、大腿骨と脛骨の関節でぶつかりあい、更には矢状面、前額面、水平面の外力にも対応しなければなりません。 そこに体幹部、股関節部などで力のコントロールが出来ていれば良いてますが、動いている時には制御出来ないケースも多いです。 その膝の中で、前十字靭帯における主な役割としては ・過度の脛骨前方移動、過度の大腿骨後方移動の制限 ・ほとんどの前十字靭帯の繊維(後外側繊維と前内側繊維がある)は膝の完全伸展を制限 ・過度の内反、外反、軸回転の制限 などがあります。 一般的損傷メカニズム  前十字靭帯を怪我をする時は、何かとぶつかってというより、非接触の時が多いとされています。  例えば、ジャンプして着地した際や急激に方向転換した時などです。膝が軽度屈曲して強く外反した姿勢で起こりやすいくなります。 他にも膝の過伸展、固定された脛骨上で大腿骨が強制的に外旋された時にも起こりうります。 これらは日常生活では少ないですが、スポーツ競技にはよくある動きです。 症状としてはかなりの痛さで、しばらく動けないほどです。 損傷程度の判断は徒手検査(ラックマンテスト、前方引き出しなど)、ストレスをかけながらのレントゲン、MRI画像などがあります。 まず骨折などが否定できたのならば、前十字靭帯の損傷程度は痛みや腫れが落ち着いてから行うので、慌てて処置を進めなくても大丈夫です。 予後 手術か保存療法かは生活によってかわります。 日常生活だけでしたら保存...

ライフ•キネティック

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   体を鍛えていても、力・動きをコントロール出来なければ役にはたちません。 例えばスポーツ選手が筋トレなどをして、パワーアップしても、競技の中で発揮できなければ、ただ重い負荷をこなせる様になっただけです。日常生活でも同じです。 その中で、私が興味を持ったのが ライフ・キネティック でした。  人は一般的に状況を 認知→判断→行動 という流れの連続で生活、スポーツをします。 このネットワークが正確で、また多くの回路があれば素早く、快適に動くことができます。 ほかの例えで言うならば、性能の良いパソコンでしたらフリーズせず、サクサク処理をしてくれるものです。  よくあるパズルなどの脳トレだけでは、気がつくというレベルで終わってしまい、行動まで連動していません。 車がこちらに向かって走ってきて、気がついたとしても、一歩下がらなければ、ひかれてしまうのです。 認知、判断してから行動できるまでが大切なのです。  特にスポーツでは、この素早い一連動作を行えることが大切です。 一瞬で状況を認知、判断し、プレー(行動)ができるならば他との差が生まれます。また、スポーツでは非日常的な、複雑な動きもありますが、これもライフ・キネティックは改善する効果があります。 コーディネーションと呼ばれるものですが、手足、頭、体幹などを同時にバランスよく動かさなければなりません。よく言われる運動神経というものです。これを改善できる効果もあるのです。  私はこの話を聞いた時素晴らしいと感じました。 現在、身体を鍛えることの科学はある程度進みましたため、これから他と差をつけるには、脳、神経系だと以前から考えていたした。  また、このライフ・キネティックは勉強、仕事にも改善すると言われています。 様々な刺激(見たり、聞いたり)を判断して考え、アウトプットする必要があります。 仕事、勉強中に一つが滞る、とイライラしたり、やる気が無くなりますが、ライフ・キネティックをトレーニングすることで、かなり軽減できるデータがでています。  このメソッドはドイツ発祥で、今でも様々な分野に活用されています。 漠然とした考え、机上の空論ではなく、数多くのデータをとって導かれたものなので、信用されています。 有名な活用例ではサッカーのドイツ代表がライフ・キネティックを取り入れ、ワールドカップに優勝(2010年)したもの...

ストレングス•ファインダー2.0

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   今回は趣旨を少し変えて話をしたいと思います。 最近、ふと自分の特長・長所とは何かなと考えてみました。漠然とわかっているつもりでも、具体的に自分の才能を活かしきれているか、客観的に判断してみようと思ったのです。 そこで、ストレングス•ファインダー2.0というものを体験してみました。  こちらは書籍を購入しまして、Web上でテストするものです。(webだけでもできます。)34からなる分類の中から、自分の強みを見えるようにして、その才能を伸ばしてゆこうというものです。 欠点を改善する事も良いでしょうが、自分の得意とするものを再認識、もしくは発見して伸ばしてゆく方が成長できるのではないでしょうか。  例えば、同じ努力を「5」しても才能が「2」であれば「10」にしかならないですが、才能が「5」のものをすれば25になります。 人には向き・不向きがあるものですから。もしかしたら自分を取り巻く環境が改善されるかもしれません。  自分では当たり前として行動していても、他人から見たら凄い才能だ、というものもあります。それを再認識して仕事やプライベートに活かしてゆこうというのです。 ストレングス•ファインダー2.0 そこで私の上位5つの結果です。 1.学習欲 2.調和性 3.分析志向 4.回復志向 5.達成欲 でした。簡単に言うとコツコツ頑張る努力を惜しまず、組織の輪を乱さないような事です。心あたりはあります。 これが良い悪いという話でなく、この特長を活かしましょうということです。 漠然としていたものが、また、そうだったのか・・・というのがハッキリわかり、また自信につながりました。 さらにお金を払えば34分類全ての順位がわかり、弱点もハッキリします。 この特長を周りの人にも知ってもらう事で、さらに調和が取れやすくなります。 機会があれば是非行ってみてください。おススメです。 ストレングス•ファインダー2.0

スポーツにおける重大事故発生の判断と対応

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 スポーツにケガはつきものです。時に重大なケースに遭遇する可能性もあります。 そのような時、現場では素早い対応が必要です。医療関係者(チームドクターやベテランのトレーナーなど)がいたりすればよいですが、練習中などなかなかそのような環境は備わっておりません。 しかし、重大事故への判断と対応を、チーム関係者は知っておく必要があります。 ここでは、流れを確認してまいりましょう。 ①意識確認  まずは、意識確認をするため声掛けをしましょう。 このとき気を付けることは、 いきなり動かさないこと です。 頚髄、脊髄損傷の恐れがあるため、動いたときに損傷がひどくなってしまう可能性があるからです。特に頸部は動かさないようにします。まれに、受傷者が気がついたとき、すぐに起き上がろうとします。受傷者の体、もしかは頭部をやさしく抑えてておきましょう。 呼びかけにも反応しないときは、軽く肩などをたたき、刺激をします。 この時も返事がなかったり、不適切な応答である場合は意識なし・低下として判断して、 直ちに119番通報 を要請しましょう。 仮に意識があった場合でも、油断しないでください。 周りが慌てると、受傷者が驚いてしまいパニックを起こしてしまう可能性もあります。 本人がショック反応を起こと、血圧・脈拍・呼吸が変化してしまうこともあります。 状況にかかわらず、安心できる声掛け・対応をする配慮も必要です。 ②呼吸  意識確認の次は呼吸の確認・確保です。 うつ伏せで倒れているときは、仰向けにするのですが、これも大変重要です。先ほど述べたように、頚髄・脊髄損傷の可能性があり、悪化させてしまうかもしれないからです。 体位変換の詳細は、また別のところでご紹介いたしますが、基本は頸部を、やや牽引をかけながら、頸部を前屈・後屈・捻じらず、一本の丸太を回転させるように仰向けにいたします。なので一人では行わず、3~4人で受傷者をゆっくり仰向けにして、頸部を中間位にします。 そして、気道を確保しつつ、頭が動かないように両手で押さえておくか、あればネックカラーを使用します。 次に気道の確保。傷病者の口に耳を近づけ、ここでも呼吸音が聞こえるか確認します。 また、このタイミングで脈の有無も確認しておきます。 呼吸音がなければ人口呼吸を始めます。頸部に気をつけながら、やや、受傷者の顎を上げ気道を広げます。 2回吹き込...