脳震盪(のうしんとう)


  わたくしは一昔前、ケガの痛みを我慢してプレーすることは、己の精神が肉体を超越したように見え、美徳としていた時もありました。(テーピングをぐるぐる巻きにしてプレーをしているとカッコイイと思っていました...)
しかし、近年は危険性を重要視して控えております。(反省してます...)

 特に頭部のけがは命にかかわることがあります。頭部、頸部を痛めた場合は痛みにかかわらず、プレーを中断いたしましょう。

今回は脳震盪(のうしんとう)時の対応を考えていきます。

基本は専門医に診断を仰ぐことです。

迷ったら脳神経外科に対応している病院へ連絡いたしましょう。この辺りはコーチもしくはトレーナが、ケガなどの緊急時にすぐ対応できるマニュアルを(病院の連絡先を事前に調べておく)作成しておくとよいでしょう。

けがはいつでも突然起こります。その場であたふたするより、前もって用意しておき対応すると、ケガをしたプレーヤーも安心します。ショック反応も意外と怖いものです。「病院へ連絡したから少し待ってろ」と言われるだけでも安心するものです。

 脳震盪の現場判断ツールといたしましてはCAT5(concussion assessment tool 5th edition)が推奨されます。

サッカー国際連盟のFIFAやオリンピックのメディカル部門でも承認され使われております。(専門家はSCAT5)

しかし、簡易的なのでこれだけで良し悪しを判断しないでください。

まず、頭部にダメージがあった場合、直接的であれ間接的(頭部へ伝達される衝撃)であれ、場合によっては命へかかわるような重大な損傷を負うことになります。

下記に簡単で当たり前のことかと思いますが、ポイントをまとめてみました

ポイント

・脳震盪が疑われたら直ちにプレーを中止する。脳震盪と診断されなくとも当日はプレーさせない。

・脳震盪が疑われたら早急に医療機関(脳神経外科)へ受診する。

・脳震盪を疑われたら医師の許可が出るまで飲酒、運転は禁止。薬の服用も相談してください。

・症状は時間とともに変化いたします。最初は無症状、軽傷でも時間とともに重症化することがあります。繰り返し観察が必要です。

・CAT5だけで脳震盪を判断せず、専門家に受診しましょう。

現場での留意点

・救命救急の訓練経験がない人は選手をむやみに動かしてはいけない。ヘルメットなどの防具も外さない。(頸部損傷は致命傷または重大な後遺症を残す可能性があります。)

・脊髄損傷の評価を最初に行う。

・救急対応訓練を受けているものは安全確認→意識の確認→気道、呼吸、循環の確保の原則に従う。


 頭部の損傷は大変危険です。最初は問題なさそうでも後々症状が出てきます。痛みを押して競技を続行することはガッツではなく、無謀な行為です。絶対にやめましょう。

 また、これはスポーツだけでなく日常生活でもあり得ることです。(転倒、交通事故など)脳震盪のことを頭の隅にでも置いておくと緊急時に役立つかもしれません。命を守るだけに覚えておいても損は無いと思います。

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