投稿

2月, 2022の投稿を表示しています

肩の痛み(石灰沈着性腱板炎)

イメージ
   接骨院で仕事をしていると、肩の痛みで来院される方が多くいられます。 「四十肩(五十肩)ですか?」と、よく聞かれますが、これは一般的に呼ばれる名前、つまりにニックネームみたいなもので、広い意味があります。(正式な傷病名ではないので、何を指しているのか私も困ってしまいます。なんでもこれに入ってしまいますから。)  肩に痛みが出る原因は多くありますが、特に私が気になるのは 石灰沈着性腱板炎 です。(これも類義語がいくつかあります。) これは激痛です。。。かなり痛そうで気の毒です。。。 特に何をしたというわけではないのですが、徐々に痛みが増してきて、最終的には少し動かすだけで、うずくまる程の痛みで来院されます。 場合によりましては、整形外科へお願いしたりもします。そちらの方が薬の処方も可能なので、患者さんには有利だと考えます。 では、このメカニズムを確認してゆきましょう。 概説  これは、ハイドロキシアパタイトというカルシウムの一種が、何らかの原因で肩関節腱板(もしくは周囲)に沈着してしまうことにより、引き起こされる痛み及び運動制限であります。 明らかな原因がないことや、40~50歳代の比較的女性に多くに好発しています。 これはX-線などで見るとわかります。様々なデータが報告されていますが、未だ原因に関する詳細は、解明されていないそうです。 病態 症状とX-線で4つに分けられます。 第一期 ・石灰沈着が腱板内に限局している時期です。  関節内で軽い圧迫を受けるため、少し運動制限が起こります。  このころはまだ症状としては軽く、人によっては無症状でX-線を取ったらたまたま  見つかったということもあるようです。  なので、石灰沈着があるからといって必ず痛が伴うわけではないのですね。 第二期 ・石灰沈着が膨隆して肩峰下滑液包(水の袋みたいなもので、摩擦を防ぎます)を圧迫する  時期です。  この時期になると本症特有の激痛が起こります。衣類の着脱がかなり困難で、夜間も  痛みのため寝返りがうてません。睡眠が妨げられるので、かなりつらい時期です。  X-線では三日月状を呈して、境界線もややはっきりしなく見えます。 第三期 ・肩峰下滑液包に膨隆した石灰沈着が、何らかの影響で滑液包を突き破り、滑液包内へ  侵入する時期です。  この時が痛みのピークでありりますが、徐々に滑液包内で

閉経後の女性の骨に与える運動の影響

イメージ
 私も40歳を経過して、少しずつ体の変化(衰え)に気がつくようになりました。。。まだまだ動ける年齢ではありますが、気をつけなければと思い始めております。 体は年々衰えてきます。骨もその一つです。女性の場合は、男性よりもホルモンの影響が大きいため、骨密度が損なわれやすいです。 しかし、遅らせることは可能ですので、今回はできるだけ防ぐ方法を確認してゆきます。    予防策としてはいくつかありますが、 一つは運動です 。 負荷(衝撃)を与えることにより、骨は強くなろうと反応します。そのため骨の吸収を抑え、さらには骨形成を促進します。 では、どのような運動をどの程度行うべきでしょうか。  宇宙飛行士は宇宙滞在期間中に運動せずにいると、無重力のため骨含量は優位に減少するようです。骨に対する刺激が少ないためです。  他の話では、運動しているしている人は、種目によって主に使う部位の骨密度は発達しています。サッカー選手なら下肢が、野球選手なら腕もですが、共通しているのが腰椎(腰)です。走りこむからでしょうが、やはり、刺激があれば反応するようでね。 でも、なかなかそれらのスポーツは日頃から気軽にはできません。 そこで、運動といわれ一番最初に思いつくのはウォーキングではないでしょうか。手軽で、比較的誰でもできそうです。 頻度・時間は週3回、1回30分前後が目安になります。個人的にも30分が好きです。飽きないし、時間も作りやすいので。 ペースは、ゆっくり歩くでは骨への反応が少ないようです。やや早歩きで、息が少し上がる程度までのペースで、効果はみられるというデータもありました。 ランニングでは衝撃が大きくなる分、さらに効果はあります。 ただ、個人によっては心肺機能が低い方や、持病を持つ方もいらっしゃいますので、無理はしないでください。体は骨だけではないので。自分のコンディションに合った、ややきつめの負荷を設定してみてください。  また、骨密度という観点から覚えておいていただきたいのは、ウォーキング、ランニングでは腕への刺激が弱いということです。 中高年女性の骨折で比較的多い部位として、橈尺骨遠位部(手首のあたり)があります。この手首のあたりの骨密度を高めるためには、ウォーキング、ランニングだけでは刺激が少ないのです。 私が骨密度を高めるのに一番良いと思えるのは、ウエイトトレーニングです。

中高年期のスポーツ外傷

イメージ
 近年では、中高年期において健康志向が高くなり、スポーツへ参加される方が増えてきております。長距離ランニング、テニス、ママさんバレーボールなど様々です。  しかし、青年期の頃と違い、中高年期の身体は変化していることに注意しなくてはいけません。 健康増進のつもりが、不健康につながる可能性があるからです。 日常生活において、大きく伸びをしたり、大股で歩いたり、手を後ろに回したりするなどのことはあまりありません。 そのような身体を動かす機会のあまりない中高年期の方が、加齢に伴って変化する身体を理解しないで運動すると、思わぬケガ•病気につながります。 中高年期になると身体組成が変わり、弾性が低下するため、 脆さ、硬さ、鈍さ、重さ、という4つの特徴 が現れてくるのです。この点を確認して参りましょう。 脆さ  骨、関節軟骨、筋肉、靭帯、腱、神経などは年齢と共に脆弱化してきます。そのため、外からの外力に対して、弾性が低下しており、以前は耐えられた力にも組織が破綻してしまう事があります。 これはダメージを感じない程度のもあるもありますが、この負担がのちに筋腱炎へつながってゆきます。 硬さ  各組織の弾性が低下することで、関節可動域も変化してゆきます。 日常生活だけでは広い関節可動域を使うことは少ないので、意識して動かしてゆかないと、徐々に拘縮してきて、関節可動域が減少してゆきます。 例えば肩の外旋運動(手を挙げる)、股関節の伸展(大股で歩く)などです。これは肩関節周囲炎、股関節炎、腰椎前弯による腰痛などの痛みにつながる事があります。 鈍さ  神経系統に起こる変化であります。神経の伝達速度が遅くなり、協調運動が低下します。そのため、関節をまたぐ大きな筋肉が滑らかに動かせず、肉離れ、捻挫などが起こりやすくなるのです。 重さ(体重増加)  成長が終わり身体の代謝量が減ると太りやすくなります。頭の中では昔のイメージで動こうとするけれども、身体の重量増加、協調性低下などがある場合、さらにケガのリスクは高まります。 予防といたしましてはまず、 体の変化を自覚すること です。 そのために普段から軽運動しておくと良いでしょう。ストレッチなどは柔軟性に気が付きますし、持久性運動では疲労度の変化に気が付きやすいです。また、回復の遅さも実感出来るでしょう。 『昔はこんなんじゃなかったのに』と、思っても実

組織の治癒過程

イメージ
   スポーツ競技においてケガは付きものですが、出来るだけ早く治したいものです。 ただ、焦りは禁物で、私としてリハビリまで含めてしっかりと治してもらいたいものです。 患者さん自身がいまどの程度まで治ってきているかを把握できれば、焦りも少し和らぐのではと思います。 専門でないと細かくわからないでしょうが、概略だけでも確認していきましょう。  組織の回復は大きく3つの段階に分けられます。 ①炎症期 ②修復期 ③リモデリング期 各段階に起こるタイミングはケガの程度、年齢や環境などでかわりますが、パターンは同じです。 ①炎症期  組織が損傷したらまず、血流・毛細血管透過性などが変化し、腫脹が起こります。 また、血液が間隙に流失するため(内出血など)組織の低酸素状態となり壊死が起こります。そこで疼痛物質を分泌し、痛みを感じるようになります。 さらには、血管透過性が高まることで腫脹に続き浮腫が起こり、収縮組織を抑制し、動きを制限させます。 しばらくすると損傷組織において白血球による貪食作用が起こり、不要なものが取り除かれます。通常2、3日続きますが、損傷が大きければもう少し長引きます。 ②修復期  炎症期が終わると組織の修復が始まります。これは瘢痕形成と呼ばれ、毛細血管・結合組織・コラーゲンなどが無秩序に形成されていきます。 しかし、これらは動きに対し、十分な強度・可動性がまだありません。この時期は炎症期の後期からみられ、長くなると2ヶ月も続く事があります。 ③リモデリング期  修復期ののち、今度はリモデリング期が起こります。これは元の状態に戻すという意味で、修復期の組織が外力に対して強くなっていく時期です。 コラーゲン繊維が減って、新しい結合組織が形成されることにより、強度や機能が改善されます。ストレスに対して強度が増して、配列が整理されていくのです。 こうした段階を経て機能が回復していくのですが、注意してほしいのは 再生ではなく修復ということであります。 すなわち、全く元通りにはならないということであります。 このことを理解していただきたいと仕事時はいつも思っております。左右を比べてみると、治ってきたと言われても少し腫れている、動きが悪いなどが見られます。しかし、体はもうケガしないようにと強くなります。皮膚ではケロイド状になるのと同じで、体の中でも起こります。 なので、損傷