中高年期のスポーツ外傷


 近年では、中高年期において健康志向が高くなり、スポーツへ参加される方が増えてきております。長距離ランニング、テニス、ママさんバレーボールなど様々です。

 しかし、青年期の頃と違い、中高年期の身体は変化していることに注意しなくてはいけません。

健康増進のつもりが、不健康につながる可能性があるからです。

日常生活において、大きく伸びをしたり、大股で歩いたり、手を後ろに回したりするなどのことはあまりありません。

そのような身体を動かす機会のあまりない中高年期の方が、加齢に伴って変化する身体を理解しないで運動すると、思わぬケガ•病気につながります。

中高年期になると身体組成が変わり、弾性が低下するため、脆さ、硬さ、鈍さ、重さ、という4つの特徴が現れてくるのです。この点を確認して参りましょう。

脆さ

 骨、関節軟骨、筋肉、靭帯、腱、神経などは年齢と共に脆弱化してきます。そのため、外からの外力に対して、弾性が低下しており、以前は耐えられた力にも組織が破綻してしまう事があります。

これはダメージを感じない程度のもあるもありますが、この負担がのちに筋腱炎へつながってゆきます。

硬さ

 各組織の弾性が低下することで、関節可動域も変化してゆきます。

日常生活だけでは広い関節可動域を使うことは少ないので、意識して動かしてゆかないと、徐々に拘縮してきて、関節可動域が減少してゆきます。

例えば肩の外旋運動(手を挙げる)、股関節の伸展(大股で歩く)などです。これは肩関節周囲炎、股関節炎、腰椎前弯による腰痛などの痛みにつながる事があります。

鈍さ

 神経系統に起こる変化であります。神経の伝達速度が遅くなり、協調運動が低下します。そのため、関節をまたぐ大きな筋肉が滑らかに動かせず、肉離れ、捻挫などが起こりやすくなるのです。

重さ(体重増加)

 成長が終わり身体の代謝量が減ると太りやすくなります。頭の中では昔のイメージで動こうとするけれども、身体の重量増加、協調性低下などがある場合、さらにケガのリスクは高まります。


予防といたしましてはまず、体の変化を自覚することです。

そのために普段から軽運動しておくと良いでしょう。ストレッチなどは柔軟性に気が付きますし、持久性運動では疲労度の変化に気が付きやすいです。また、回復の遅さも実感出来るでしょう。

『昔はこんなんじゃなかったのに』と、思っても実際は違います。残念ながらどんな生き物にも体力低下がおこります。

その分、経験が増えて、違う楽しみがあると私は感じてます。失敗も減るし、ビールも美味しいし・・・。

健康のためにも運動は良いですので、是非行って欲しいです。

その中で外傷予防のためにも、運動前後にストレッチなどのケアも、今まで以上に必要です。休息(回復)もしっかりと取ってください。

健康診断も定期的に受けておきましょう。ケガだけでなく内科的疾患も青年期よりリスクはありますので。

大人になれば個人差は大きくなります。欲をいえばメディカルチェックを受け、自身の身体的特徴を見つけてもらい、弱点を補う個別メニューを作成してもらえれば、予防に大いに活用できます。

何はともあれ自分の体をよく知って、楽しく長く体を動かしてゆきましょう。


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