肩の痛み(石灰沈着性腱板炎)


   接骨院で仕事をしていると、肩の痛みで来院される方が多くいられます。

「四十肩(五十肩)ですか?」と、よく聞かれますが、これは一般的に呼ばれる名前、つまりにニックネームみたいなもので、広い意味があります。(正式な傷病名ではないので、何を指しているのか私も困ってしまいます。なんでもこれに入ってしまいますから。)

 肩に痛みが出る原因は多くありますが、特に私が気になるのは石灰沈着性腱板炎です。(これも類義語がいくつかあります。)
これは激痛です。。。かなり痛そうで気の毒です。。。

特に何をしたというわけではないのですが、徐々に痛みが増してきて、最終的には少し動かすだけで、うずくまる程の痛みで来院されます。

場合によりましては、整形外科へお願いしたりもします。そちらの方が薬の処方も可能なので、患者さんには有利だと考えます。

では、このメカニズムを確認してゆきましょう。

概説

 これは、ハイドロキシアパタイトというカルシウムの一種が、何らかの原因で肩関節腱板(もしくは周囲)に沈着してしまうことにより、引き起こされる痛み及び運動制限であります。
明らかな原因がないことや、40~50歳代の比較的女性に多くに好発しています。

これはX-線などで見るとわかります。様々なデータが報告されていますが、未だ原因に関する詳細は、解明されていないそうです。

病態

症状とX-線で4つに分けられます。

第一期
・石灰沈着が腱板内に限局している時期です。
 関節内で軽い圧迫を受けるため、少し運動制限が起こります。
 このころはまだ症状としては軽く、人によっては無症状でX-線を取ったらたまたま
 見つかったということもあるようです。
 なので、石灰沈着があるからといって必ず痛が伴うわけではないのですね。

第二期
・石灰沈着が膨隆して肩峰下滑液包(水の袋みたいなもので、摩擦を防ぎます)を圧迫する
 時期です。
 この時期になると本症特有の激痛が起こります。衣類の着脱がかなり困難で、夜間も
 痛みのため寝返りがうてません。睡眠が妨げられるので、かなりつらい時期です。
 X-線では三日月状を呈して、境界線もややはっきりしなく見えます。

第三期
・肩峰下滑液包に膨隆した石灰沈着が、何らかの影響で滑液包を突き破り、滑液包内へ
 侵入する時期です。
 この時が痛みのピークでありりますが、徐々に滑液包内で貪食作用が働き、石灰化は
 吸収され痛みが落ち着いてきます。
 X-線では境界線ははっきりわからず、淡く広がった様子を見せます。

第四期
・肩峰下滑液包内で石灰化されたものが吸収され、痛みが劇的に収まって、徐々に消失してくる。炎症が沈静化してくる時期です。
X-線では滑液包がびまん的に広がったように見えてきます。


上記のように経過をたどるのも人それぞれあります。

急性型・・・・まったく無症状であったのが急激に発症する。第一期~第四期まで急速に
       進み、1~3週間で終わります。

亜急性型・・・1~3ヶ月程度かかり、進行していく。痛みは急性型ほどでもないが痛い。

慢性型・・・・3ヶ月程度症状があるが、第一期から進行しない。


治療

 基本は保存療法となります。第2,3期には三角巾等により、安静固定をします。やや外転位で腋下に丸めたタオルを入れておくと比較的楽でしょう。あとは冷湿布などを使います。

医師ですとステロイド剤や、局所麻酔薬を注射器にて注入したり、手術療法もできます。
急性型の場合ですと激痛なので、やはり投薬をした方が良いでしょう。
少し楽にはなります。


肩に対する痛みは数多くあります。どの部位でもそうですが、何事にも決めつけず、探りながら施術させていただいております。
広く学び、少しでも痛みを和らげるよう最善策を導きたいと考えております。

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