子供のトレーニング


  近年、日本でも様々なスポーツが盛んになり、ジュニア世代からのトレーニングも充実してきております。なので、ビックリするぐらい高い技術を持った子どもたちが多くみられ、驚かされます。

 その中で、フィジカル面ではどのようなトレーニングをしたらよいの?と、ご相談を受けるケースが増えてきました。そこで今回は子供のトレーニングについて考えてまいりたいです。

個人差

 当たり前ですが子供もそれぞれ違う特性を持ち、またその成長にも個人差があります。年齢に合わせて体も同じように成長するわけではないのです。私はここが重要だと考えています。
ある子は短距離が早く、また別な子は力強く、あるいは技術の覚えが早い子もいます。しかし、年齢が経過するとともに以前はそれほど目立たぬ能力の子が、大きく成長する子もいます。成熟も人それぞれなのです。
 なので、ジュニア、ユース世代ではあまり人と比較する必要はないかと私は考えます。むしろ、体を動かすことを楽しみ、自分の長所・短所を見極めてそれに合わせてトレーニングに励めばよいのではないでしょうか。
成長が早く身長が小学生で170cmあっても、その後止まる場合があります。私自身も背が低かったですが高校3年間で18cm以上伸びました。焦りましたが。。。。
 
 身長に限らず、走力、筋力も同じです。小学校時代同年代ではずば抜けた能力でも、成人したらあまり他と変わらないことも多くあります。そのまま成長する人は羨ましいです・・・。これは天才ですね。

なので焦らないでください。大切なのは先を見据えて今の自分の課題を一つ一つ何が足りないか考えクリアしていくことです。将来こうなりたいと具体的にイメージして頑張る子は必ず伸びます。考え、実行し修正してく、この力を伸ばしてください。

身体の成長

 話をフィジカルに戻しましょう。体の変化で分かりやすいのは市委長です。

身長の成長速度が最大になる時期は一般的に男子は14歳、女子は12歳前後です。そしてこの時期は傷害率も高まるのです。
原因といたしまして
 ・筋腱複合体が硬くなる
 ・骨が比較的もろくなっている
 ・関節周囲の屈筋、伸筋が不均衡
 ・身長が伸び重心の位置が変わる    
                         などがあります。
対策といたしまして
 ・柔軟性の高める
 ・屈筋、伸筋の不均衡を矯正
 ・痛みが出るならトレーニング強度を下げる    などのプログラム変更が必要です。

つまり、あまり身体を追い込むことなくケガをさせないことを優先すべきです。そして神経系のトレーニング・技術を磨くべきだと思います。

ハードなことをやると比較的簡単に身体を故障してしまいます。そうなると長期休みになるか最悪競技を諦めなければならなくなります。また、この時期にしか神経系は大きく発達しません。なのでこの時期にコーディネーション(体の連動、使い方)のトレーニングが重要です。

 少し難しい話ですが成長とともにホルモン分泌が変化してきます。
男の子はテストステロンが10倍になり筋量が増えてきます。女の子はエストロゲンが生成されます。これにより脂肪がつきやすくなり、乳房も膨らみます。また腰幅も広がります。
これは思春期からみられ、男女差が出てきます。

 骨の成長はだいたい20歳ぐらいまでです。関節部分近くにある成長軟骨が完全に硬化すると終わりになります。
この成長軟骨にダメージがあると成長阻害になりますので子供のころはこの部位のケガに注意が必要です。ですが、よほど強い外傷(骨折など)でないと起こらないので普通にトレーニングする分には過度に心配しなくても大丈夫です。

 子どもの筋力発揮には神経系の発達に由来されると言われております。
子どもの神経は大人と違い神経線維の髄鞘という組織が形成がされていません。これがあると早く刺激が伝わってゆきます。子供はこれが未発達のため、素早い反応や複雑な動作ができないのです。

この髄鞘の発達があって、電気刺激の伝導が早まり、様々なスキル(バランス、アジリティー、複数筋力の動員、コーディネーション、など)ができるようになってきます。これにも個人差がありますので、年少期にできなくても焦る必要はありません。

 しかし、刺激は与え続ける必要があります。しかも色々な動きをして。なので全身をくまなく使い、刺激をしてください。一つの競技に特化するより様々なことで体を動かすとよいでしょう。
この神経系は成人になってからは発達しにくく、小学生後半が最もよく反応いたします。

 昔は子供たちは外で遊び、様々なことで体を自然に動かしていました。しかし現在ではPCの発達、安全性の問題、乗り物の普及などで少しずつ体を動かす機会が失われてきています。子供に限らず、大人も意識的に体を動かしていきましょう。

人間の体は長い年月をかけ、生き抜くために体を動かすようデザインされていますので、運動量が減少すると様々不具合が出ます。子供に限らず、大人もたくさん運動を心がけましょう!

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