フィジカルを鍛える?



  仕事でスポーツ選手のケアをしていると『フィジカルを強くしたいのですが、どんな筋トレをしたらよいですか?』とよく質問を受けます。

その時私は『フィジカルのどの部分を強くしたいのですか?』と、逆に質問するのですが、そうすると相手は困ってしまい、『体を強くしたいのですよ』と、だいたい返されます。

これは選手に限らず、コーチなどでも同じです。

私はサッカーをサポートする機会が多いのですが、当たり負けしないようにしたいというニュアンスが大きいかなと、とらえています。

 ただ、これは筋トレなどで筋力をつけなくても、体幹、股関節の使い方という技術的なことで改善する事ができます。

こんなことを説明すると、たいてい相手からは『そうではなくて筋肉を、身体を大きくしたいんですよ』と言われてしまいます。

皆さん筋骨隆々となれれば強いイメージのようですが、それだけでは動き(プレー)に悪影響が出ることが、故障に繋がる場合もあります。

筋力(strength)だけに着目してしまうと、他の動きに影響を及ぼすこともあるのです。

今回はフィジカルとはどんなものがあるか、簡単に確認してゆきます。


①筋力

「ある速度において金または筋群が発揮可能な最大の筋」...難しい...

簡単にいえば、重いものをどれだけ移動出来るか、移動させようと筋力が産まれるか。

バーベルを持ち上げたり、背筋力を測るとき引っ張る検査などです。

②パワー 

「単位時間当たりの仕事量」.....難しい.....

簡単に言えば、物体をどれだけ素早く移動できるかです。

垂直跳びや立ち幅跳びなどの力がこれにあたります。

③敏捷性

素早く方向転換などできるか。反復横跳びやシャトルランなどがこれにあたります。

ただ、よく混同されやすい、アジリティーというものがありますが、厳密には異なります。アジリティーには判断も加わります。つまり、相手に合わせて瞬間的に自ら判断して方向などを変化させることも含まれるため、はじめから決まっている場所、この地点にきたら方向転換するとは少し違ってくるからです。

④スピード 速さ

これはシンプルに様々な種類の速さを求めています。

⑤平衡性 

バランス感覚をさし、体勢が崩れたりしても、自分の位置を把握できているか、またそれに対して修正できるかという能力です。

⑥協応性 コーディネーション 

一つの動作をするには全身を動かす必要があります。そのため、身体の各部位がタイミング

よく、滑らかに連動できる必要があります。これは以前お話をしたライフ・キネティックが効果的です。

⑦持久性

長い時間運動できるか。これにも筋持久力と心肺機能的持久力とありまして、トレーニングが若干変わります。

⑧柔軟性

軟部組織の柔らかさ、可動域の大きさが関係してきます。


 かなり簡単に書きましたが、フィジカルにもこれだけ多くの要素があります。各分野とも、掘り下げれば、きりがないほど様々な要素がかかわりあっています。

これを全体的にレベルアップしてゆくのがフィジカルを強くすると言うことですが、いっぺんに全部をあげるのは難しいです。

ですので、『フィジカルを強くしたい』というより『こういうプレーが出来る様になりたい』と言っていただいた方がサポートしやすいです。


 アジア人の骨盤は傾斜が浅い傾向があるので、強いパワーを発揮しにくい身体つきです。最近はこれを改善する動きを手に入れることで、ある程度海外で対抗する様になってきました。

各スポーツで海外で活躍する日本人選手も増えてきましたね

自身の特性を知った上で、うまく活かし、改善することでレベルアップいたします。


 最近はこれらの要素を強化する方法、情報が数多くでています。

でも、これらをどう組み合わせて、またどれくらいの頻度、強度でやるかは、人に合わせて変えていく必要があります。

料理をされる方と同じ感じで、質の良い食材は簡単に手に入るようになりましたが、どう調理するかはその人にかかっています。

私も試行錯誤しながら選手と向き合い、腕を上げてゆきたいと日々仕事に取り組んでいます。

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