暑い中での持久性トレーニング


 6月に入り気温が上がってまいりました。

 コロナ感染症対策でのマスク着用規制も徐々に緩和されるなか、スポーツをされる機会も増えてきました。

しかし、そのような中で熱中症にも気をつけなければなりません。

今回は暑い中でのトレーニング・仕事における注意点を考えてゆきます。


高体温が引き起こす疲労

 高体温の状態では適切な水分補給ができていても、パフォーマンスが低下してきます。

血管系に大きな変動をもたらすことにより、疲労を引き起こしやすくなるのです。

また、中枢神経系の影響もありパフォーマス・集中力も低下してくるのです。

そのほか、末梢神経なども関係し、これらが複雑に絡みあって身体に疲労をもたらすのです。

 対策としましては順化(適応する、慣れる)ことが大切です。そのためのトレーニング・準備が必要になってくるのです。

暑熱順化における生理学的適応

 暑熱順化は皮膚温と核心温が上昇するような環境でおこり、それに伴い多量の汗をかきます。

暑さと運動ストレスを組み合わせた環境で核心温を上昇させ、そこに適切な強度と時間を組み合わせることで徐々に体が慣れてきます。

 様々な研究結果がありますが、目安としては中程度の負荷(少しキツかな…ぐらい)を約一時間行い、これを連続で10日から14日継続すると体が慣れてくるそうです。

 評価基準は直腸温や運動継続時間の計測と言われますが、なかなか簡単にはできませんよね。。。

代わりに評価を行えるものとしては、心拍数があります。

 体は気温上昇に連動して、心拍数も上昇させます。なので安静時の心拍数を知っておくと変化に気が付きます。

運動はじめはすぐに上昇する心拍数も、暑さに慣れてくると徐々に上昇を始める時間が長くなってきます。そして、心拍数の上昇が抑えられてくるでしょう。この変化が順化を知る目安になります。

ただ、この研究はまだ浅く、真偽が分かれているところです。今後の研究を待ちましょう。

 暑熱順化の成果としては発汗量の増加、皮膚血流量の増加、ナトリウムなどのミネラル濃度の低下が得られ、その結果高温に対する熱耐性が高くなると言われております。

 ただ、湿度が高いと発汗が抑えられてしまうため注意が必要です。外の湿度が高いと汗が出にくくなり、熱が体にこもってしまいますので、シャツを変える、汗を拭きとるなどして肌を少しでも乾きやすくし、汗を流しやすい環境を整えましょう。

 また、外気温が高いと熱が体内に入ってくる場合もあります。

こうなると体内の核心温が高くになり危険です。暑さになれるといっても気温が高すぎるときは控えましょう。

暑さで体の具合が悪くなるのは、体は心拍数上げて血流を増加し、熱を逃がそうとしているのに、血液中の水分が減ると体液維持のため逆に血管を収縮してしまいます。
このせめぎ合いで体温があがり、不調になるのです。

身体冷却の重要性

 体温(核心温)が上昇すると体を休ませようとするので動きにくくなります。なので高体温予防が最適なパフォーマンスの鍵となります。

様々な方法がありますが、ポイントとなるのはやはり核心温を下げる事であります。

ここで一番早く核心温を下げるのが水浸水(水をかぶる、浸す)であります。

でもビショビショになってしますので緊急時以外はなかなか試みることはできませんね。。。

 次に簡単なのは冷たい飲料を飲むことです。

これは体温を下げるだけでなく、水分バランスを保つのに役立つので一石二鳥です。飲みすぎはおなかがゆるくなるので、一気に飲まないように気を付けましょう。

 このほかにもミストを皮膚に当て熱放散させることや、表層に近い動脈血付近を氷等で冷やすなど方法がありますので、現場で可能な方法を試みてください。

 やはり、暑い中でのトレーニングは効果的ではない研究結果が多く出ています。

心拍出量や活動筋肉の代謝交換、スピード、パワーは低下するからと言われ、この環境下ではレベルアップは難しいのです。

暑い時期は強化期から外した方が良いかもですね。

なので欧米はサマーバケーションをとって、なるべく活動しないようにしているのかもしれません。

スポーツもシーズンオフが多いですしね。

ペース・水分戦略

 暑い時期はペース配分も重要だとです。いつもと同じペースでは最後まで体力が持たない可能性があります。熱に対する代謝交換は個人差がありますが、やはり疲れやすいですね。

自分のペースを見つける事も大事です。

組織の中でも適応しつつ。。。怒られない程度に。。。

 水分は言わずと知れた、人にとって一番大切な要素です。

飲み過ぎでお腹がタプタプになると気持ち悪くなるかもしれませんが、中程度の脱水よりましです。こまめに水分を取り脱水を防ぎましょう。

 実は水分は体内の脂肪を分解する際にも生じているので、実際に汗をかいた量と同じ水分を取らなくても大丈夫なのです。

少しではありますが、汗をかいた10%ぐらいにはなっています。

 身体活動に影響が少ない、つまり危険ではない目安と言われてるのは、マラソンで約2時間のレース終了後(アスリートです。こんなタイム出せません・・・)に1.5キロは許容範囲と言われています。あくまで目安なので参考までに。

 汗の中にはミネラルも含まれので補給も大事です。

この補給はスポーツドリンクが最適。

どのメーカーでもほぼ同じなので、飲みやすいものを選ぶとよいでしょう。糖分も多く入っているので常用にはしないほうが良いのではないでしょうか。


以上、長々と書いてきましたが、これからの暑い夏本番にむかっていきます。

元気に乗り切っていきましょう!

コメント

このブログの人気の投稿

高齢者の運動するポイント 2

サッカーにおけるケガ

ケガした時の応急処置"RICE"